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500人という途方もない人数かにみえたが。
※ステージ上にいるみんなの流れ作業的なイラスト付き色紙渡し。
※藤永のプロとしてのバイタリティー溢れる気力とサインの速さ。
…という、みんなの協力の甲斐あって夕方5時過ぎには最後のサインをし『ありがとう』と藤永は笑って握手していた。
会場アナウンスでサイン会の終了・明日のサイン会は別の会場である事が告知されていた。
雑務・片付け・挨拶等を終わらせK出版社のみんなが車に乗り、高速道路を走り始めたのはサイン会終了から1時間後くらいだった。藤永は松本の車で会場まで来たが今は担当の車に乗っている。
成瀬は夕方からの勤務の為に早々と会場を後にして松本の携帯にメールを送っていた。
『サイン会お疲れ!最高にかっこ良かったぜ!仕事あるから最後までいてやれないけどプリンスホテルで会えたら良いな。…成瀬…』
美和は先ほどきたメールを眺めてクスッと笑った。
右手を美和の左手にのせ握っていた拓也は声に出して読んでいた。
『お母さん達も今日は外食、手抜き出来て嬉しい。
美和可愛かったわ。
お母さんより
おまえがやりたい事ならお父さんは応援する。
今日みたいなサイン会やリメイクも美和にはたくさん助けてくれる人達がいるんだな。少女漫画お父さんも読んでみるかな。
お父さんより』
拓也は我慢する事が出来ずに『ごめん』と美和に謝りながらクスクス笑った。
『少女漫画を読む姿を想像しちゃって』
『失礼よ、拓也。
控え室でさんざんお礼言われてクッキーまでもらったくせに』
『ごめん、美和。
助けてくれてありがとうって何回も言われて、クッキーまでもらって。
それなのに少女漫画で笑って…』
『お父さんはきっと気にしない、だって松本さんを気にいってるもの』
拓也はすごく嬉しそうに笑って思いっきり照れた。
佳那子は拓也の反応は軽く笑う程度だと思っていただけに、照れる顔は想像すらしていなかった。
『松本さんのこんな顔見た事ない、どうしたの?』
心配そうに覗き込む美和の頭に右手をあて引き寄せる拓也。
美和の顔が拓也の右胸あたり、触れたルージュのピンク色がシャツにうつる。
美和がソレに気ずいたのは顔をあげた瞬間で謝りながらハンカチを出そうとバッグに意識を集中させ…られない。
『ごめんなさい』
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