3.3.儀式

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 天井の照明を落とされた地下の「ホール」は集まった男たちでざわめいていた。床に置かれた炎から放たれる赤い光が大きく揺らめきながら男たちの影を四方の壁に映し出している。集まる男たちの数は増え続けていた。熱気が渦巻いていた。  ホールの中心の台上では、赤い髪の若者が忙しげに指示を出していた。男たちをかきわけながら台に向かってくる太めとガキどもを見つけた若者は、招くように手を振った。  若者は両手を口に当て太めに向かった何か叫んだ。うなずいた太めは、ガキどもを素早くその場で整列させた。両手で持った大きな鉄の板を胸の前に持ち上げる。列の前が通路のように開く。ホールの入口に通じていた。  赤い髪の若者が両手を前に伸ばした。それをきっかけにガキどもが鉄の板を打ち鳴らす。繰り返される騒々しい音があっという間にホールのざわめきを飲み込んでいく。  一定の調子で鳴らされる音と重なるような別の音が入口の外から聞こえてきた。少しずつ大きくなってくる。  二人がかりで担がせた大きな箱を叩きながら赤い堀が入口から姿を現す。後ろに続く男たちの何人かは脇に抱えた箱を棒で叩いている。何かを詰めた箱を小刻みに揺らしている男たちもいる。  赤い堀の手下たち、赤い男たちは、太めとガキどもが作った通路で彼らと対峙するように向かい合わせに並んだ。競い合うように音が強まっていく。呼応しあい重なり合う音と音とが、ざわついていた男たちを黙らせる。繰り返される音に合わせてホールに集まった男たちが身体を動かし始める。男たちの足音が響き出す。上下する頭が、うねりながら広がっていく。
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