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「あふれだす」
そこに在ると思っていたものが
当たり前ではないと気付いた
あふれだす、あふれだす
まるで流れていくようで体が軋む
涙にも種類があるなんて
理解っていたのにさ
これは美しいものではない
だから簡単に流すべきでもない
あふれだす、ことも
僕を正しく叱ってほしい
例えば、頭を撫でるように
例えば、首を絞めるように
30年後の老いた僕が
突然君を思い出すだろう
こぼれだす、こぼれだす
まるで流れていくようで笑顔が崩れる
過去に期限があるなんて
理解っているのにさ
それは汚されるべきものではない
だから簡単に侵されるべきでもない
こぼれだす、ように
君を正しく叱りたい
例えば、笑いかけるように
例えば、涙を流すように
僕は静寂に耳を傾ける
雫の音色を聞き逃さないように
***
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