第1章

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-----------------  柄になく飲み過ぎてしまった……。  前のエアギルス強奪事件からあまり飲まないようにしていたのに……。  酒場に足が向いた理由はこの間兄弟子とレオ君がとある組織に薬を盛られ拉致された事件での事があったからである、全く…斗流カグツチの正当後継者であろう者が不意を突かれるとはと呆れながらも現場に付き二人のボロボロになった姿を見てしまったら理性の枷が外れてしまった、らしく、運悪くそこは消火水の近い場所で逆さ泡鉢を使った酷く恐ろしい攻撃をしてしまったようで二人にその時から少し避けられてしまっていたのだ…。 「ゔぅ……」  頭がグラグラする吐き気も酷いくらいだ。  道中吐いてしまってエアギルスまで嘔吐物が入ってしまっていて更に気持ちが悪い今の姿はとても悲惨な状態なのだろうとぼやける頭で考えてみても状態は酷くなる一方だ……そのまま少し寝てしまおうと意識を睡魔に任せようとすると 「たくっなんで………うぉっ!?、おまっ、おい、魚類!!」  恐らく愛人にやり部屋を追い出されここに至ったであろう者が愚痴を漏らしながら態度の悪い歩き方で入ってきた、信じられないまさかこの人にこんな姿を晒すとは……。 「うっ…ぐっ……なんで来るんですか……」  少し身体を床から上げて睨みにもなっていないような睨みを兄弟子に向ける 「なんだっていいじゃねーか、つかなんだその姿はひでぇ有様じゃねーか」  素っ気ない返事をするも僕の姿を見て少し眉を寄せ近寄ってくる 「来ない、で、くださっ……」  近寄ってくる兄弟子の方を向こうと座り込むとゴポリと喉奥で胃の内容物が込み上げる感覚に襲われバッと両手で口を塞ぐ 「あーあー、たくっ!世話の焼ける魚ちゃんだ事」  血で作られた糸で部屋の隅にあったバケツを手繰り寄せ手に持ちツェッドに渡してやる、余りにも苦しげに嘔吐するもんだから無意識に背中を摩ってやっていた。 「ヴ……ゲホッ、ガハッ……」 「お前本当に大丈夫か?」  いつもなら罵倒やらが出てくる口から心配そうな言葉が出てくるのを聞いているうちに吐き気は少し収まって来ていたが次には目頭が熱くなりじんわりと目端に涙が溜まりポタリと一雫落ちてしまえば止まらなくなってしまった。
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