それから、ぼくらはずっと一緒だった。

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 また胸が、何かに急かされるように締め付けられた。  目を閉じて、ゆっくりと心を静めた。  体を仰向けに戻して、またゆっくりと目を開ける。  まるで生き物のようにざわめく梢にトリミングされた黒い宝石箱のような星空は、地上の芝生に張り付く僕らを優しく照らしていた。  そのまま要達は星空を眺め続けた。  山を降りて、解散してそれぞれの道を歩き出して10分ほど経った時、要はそれを思い出した。  忘れ物した。  バッシュとTシャツと短パン。  今日は部活が終わってそのあと家に帰らずそのまま行ったから、忘れないように気をつけてた筈だった。  でも普段は部活がある日は基本的に家に帰って荷物を置いて着替えを済ませてから張り込みをするようにしてたから、すっかり忘れてしまっていた。  悪いことはことはするもんじゃないなぁ。  既に十分遅くなってるのに、さらに遅くなったら大変だな……。  要は元来た道を駆け出した。
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