あの夏の秘密基地

ある日、それは何気ない日常会話から始まった――

　洋介とはいつも給食の早食い競争をやってる仲で同じバスケ部、有江とは家が近所で昔からの格ゲー仲間だ。

　ちなみに要の方がやや強い。

　得意なキャラは某格闘漫画の主人公を模した番間魔木（バンマ　マキ）。

　声をかけてすぐノってくれる心から親友といえる２人だと笑顔がこぼれた。

　要一が通う豊ヶ丘中学校には歩いて２分ほど行ったところに裏山がある。

　名前を守島山（カミシマサン）と言い、高さ２００メートルほど。

　体育会系の部活がよく走りこみのコースとして使っており、その手の連中が走れば頂上まで３０分というところだ。

　傾斜は緩くもなくきつくもなく適度で、緑が鬱蒼と茂ってはいるが人が歩く道だけは整備がされている。

　頂上にはちょっとした休憩所になっており、４つのベンチと日除けの屋根と木で出来た柵が設けられている。

　そこからの眺めは往眞町をほぼ一望することが出来、立ち並ぶ家とビル、その向こうに広がる大石川はまるで精巧なジオラマを見ているよう。

　綺麗な空気とも相まってなかなか有名な散歩スポットとなっている。