ある日、それは何気ない日常会話から始まった――

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 今回要たちが張り込むのがこの休憩所である。  噂によると満月の夜その日除けの屋根の上に訪れ、聞く者の心臓を引き裂くような凄まじい遠吠えを繰り返すらしい。  山を登った。  荷物は要の父親の登山用リュック――全長1,5メートルを借りた。  ぱんぱんに膨れた。  1回1回帰るものの、友達と示し合わせて持ってくるものを決めたら意外と入用になったのだ。  一歩一歩踏みしめるたびにガシャガシャと音が響き、足が地面にめり込む心地がする。 「あぢ~……死ぬ~……」  洋介は肩から垂らすスポーツバッグを持ってきてた。  タンクトップに、半ズボン。白いスポーツキャップを被ってきてる。 「う、ぅ~ん……汗が、う、鬱陶しいね……」  有江はオーソドックスなリュックサック、小学生の時からずっと使ってる黄色いやつだ。  ポロシャツにやはり半ズボンを着ており、暑さのため汗が流れるたびに眼鏡を直していた。  頂上について基地を設置した。
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