第1章

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私の愛する彼は人殺しだ 彼は自分の好きな人を殺してしまう。 けれど彼は、私のことは愛しているから殺さない。 彼はいつも優しい、だって私を愛しているから。 今日だって彼は私に、いつものように言ってくれるだろう。 一言、『愛しているよ』と あぁ、今日も彼が来た。 「糸、今日も君は花のように美しいね」 彼は今日も来てくれた 私に会いに私の家に、嬉しい愛しい 貴方も、愛しているのはこの私 苧環 糸 だけよね? 「いつもありがとう釦さん でも花の様なんて花に悪いわ」 花の様なんて言ったら花達が畏縮して枯れてしまうわ。 「いいや君は美しい、まるで水仙のようだ。そんな花の様な君には水をあげないと、今日は珍しい紅茶を持ってきたんだ。どうか僕と一緒に飲んではくれないかね?」 今日も彼 天竹 釦 は完璧だ気遣いができて優しくて、そして私のことを愛してくれる。 あぁ、今日も私に『愛している』と言って。 いつものように早く、早く! 「ねぇ釦さん紅茶よりも、いつものあれを言ってくれませか?」 早く早く早く 「ははっそんなに好きなの?あの言葉」 えぇ好きよ、だから早く!!早く!! 「わかったよ、だからそんな目で見ないでおくれ僕の美しい水仙?」 あぁ、やっと言ってくれるのね 『好きだよ俺の糸』 え? 違う、その言葉じゃない私が求めているのは だって、だって、 貴方は私を愛しているから殺さないのでしょう!? 「違う、違いますわ釦さま。その言葉ではありませんわ、だって…… だって貴方は私を愛しているはずでしょう? 好きなんて言葉はいりませんは!!早く私に『愛している』と言って」 だって、貴方からの好きの意味は…… 「だからいっているだろう?好きだと、それとも俺からの好きの意味、分からなかったかい?じゃぁきちんというね?」 やだ、やめて、やだ 「『好きだよ糸。だから、ここで俺に殺させてくれ』」 「やだ嫌よ、なんでなんでなんで?昨日まではあんなに愛していると言ってくれたのに!!どうして!!嫌嫌嫌嫌イヤ嫌嫌嫌嫌イヤいやいや 「うるさいなぁ、君がもうちょっと我慢強かったらまだ殺されなかったんだよ?だから自業自得。 君が俺に好きだと言わせたんだから、さっさと死にさらせ傲慢女」
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