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「高瀬さ、ん……こんなところでダメですってば……」
「企画書にミスがあったお仕置きだ」
今年入ってきた新人のかわいい唇を貪って、その今にも泣きそうな目尻を拭うと“彼”は、はにかみながらにこりと微笑んだ。
「はい、今度こそ完璧に仕上げてきます」
牧村良平は俺、高瀬修二の部下であり、少し抜けているところもあるが仕事を懸命にこなす。俺の完璧主義に倣って、いつも口癖のように“完璧”を口にする。
そして牧村と俺は特別な関係でもあった――。
牧村は正真正銘の男だ。だから俺たちは一般的にはタブーな関係を築いている。それでも俺は、平凡な日常からようやく抜け出せたそのスリルを毎日楽しんでいた。
けれど、俺は元々ゲイじゃない。告白してきたのも牧村の方からだ。あまりにも可愛さついでについ手を出してしまったといた方が正しいかも知れない。
するとその時、俺のスマホが鳴った。
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