桃色梅

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天神さんの境内に桃色の可憐な梅の花が咲いた。 花びらは、レースのカーテンの様にひらひらと風が吹くたびに揺れている。 その梅の花を見つめる瞳があった。 可憐な少女が桃色梅を見つめていた。 そして、一つ大きなため息を吐くと、もう一度桃色梅を見つめる。 少女の名は、レイナと言う。 明日、この梅の花の咲く地を離れなければならなかった。 大好きな梅の花と離れるのはとても悲しかった。 レイナは、両親の仕事の都合で京都から東京へと移り住むことになっていた。 この美しい土地を離れるのは悲しかったが、仕方なかった。 最後に、レイナには、会いたい人がいた。 それは、昔、この梅の木の下で、出会った少年に会いたかった。 昔から、この境内で、よく遊んでくれた少年だ。 レイナはその少年、健といつも一緒にこの境内で遊んでいた。
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