2人が本棚に入れています
本棚に追加
健が好きだった、梅の花だ。
健が、「レイナは、この桃色梅の花のようだね。」といつも言ってくれた。
健と会えなくなって寂しくなったレイナは、桃色梅の花の咲くころになると、いつも花を眺めている。
そして健との思い出の中に浸っている。
しかし、それも今日で終わりになる。
レイナは、お父さんの仕事の都合で、東京に行く事になった。
最後のお別れに、今日梅の花を見に来たのだ。
レイナは、桃色梅の花を見つめながら、
「桃色梅さん今までありがとう。私は、明日、東京へ行くの。もし健ちゃんがここに来たら、伝えてほしいの。さよならって。」そういうと、桃色梅の幹を優しく撫でる。
桃色梅はずっとレイナの事を見守ってきていた。
レイナは、最後に健に会いたかった。
そう思いながら、梅の幹から手を離し振り向くと、そこに健が立っていた。
健は、レイナと同じ位になっていた。顔も少し少年へと変わっていた。
最初のコメントを投稿しよう!