桃色梅

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健が好きだった、梅の花だ。 健が、「レイナは、この桃色梅の花のようだね。」といつも言ってくれた。 健と会えなくなって寂しくなったレイナは、桃色梅の花の咲くころになると、いつも花を眺めている。 そして健との思い出の中に浸っている。 しかし、それも今日で終わりになる。 レイナは、お父さんの仕事の都合で、東京に行く事になった。 最後のお別れに、今日梅の花を見に来たのだ。 レイナは、桃色梅の花を見つめながら、 「桃色梅さん今までありがとう。私は、明日、東京へ行くの。もし健ちゃんがここに来たら、伝えてほしいの。さよならって。」そういうと、桃色梅の幹を優しく撫でる。 桃色梅はずっとレイナの事を見守ってきていた。 レイナは、最後に健に会いたかった。 そう思いながら、梅の幹から手を離し振り向くと、そこに健が立っていた。 健は、レイナと同じ位になっていた。顔も少し少年へと変わっていた。
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