エピローグ

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 地平線の彼方の空は明ける前のわずかな朱色を残しながらも既に白み始めていた。  見渡す限りの草原の真ん中に、ゆるやかに隆起した丘が控えめにたたずんでいる。  丘の頂の巨木はその枝を存分に広げていた。  巨木の根元に少女が横たわっていた。  密集した葉の下で、深い眠りに落ちていた。  生き延びてきた長い年月を感じさせる巨木の幹は、あくまで太く聳え立ち、空を支え、大地を押さえ込んでいる。  まるで少女を守るかのように。  高く澄んだ空。  雲は無かった。どこにも見当たらない。  まだ星が見える。無数の星が明けていく空に抵抗している。  どこかから、黒い煙が細く上がっていた。煙は上に登るにつれて拡散し、空に溶けていく。  地平線から上った太陽の光が草原の上を駆け抜けた。  一瞬のためらいの後に姿を現した太陽は、夜露に濡れた草の葉に情け容赦なく陽の光を浴びせる。  少女の頬の産毛が金色に輝いた。  熱が、太陽からの熱が少女の身体に降り注ぐ。  暖かさが少女を揺り起こす。  まだ目を覚まさない。  暖かさが少女の身体を解きほぐす。  閉じたまぶたの裏が赤く染まる。  陽の光がさえぎられた。影を感じる。  少女はためらいも迷いもなく目を開けた。  恐れはない。  希望だけが、少女を満たす。  目の前の人影に少女は手を差し伸べながら微笑んだ。  陽の光が彼女の瞳を輝かせた。 終わり
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