一章 初顔合わせのプラエタリタ

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「そうなんだ。テレビ視てるなら別に退かなくてもいいよ」 「かたじけない」 「ところでさ、私以外にも魔法の力を与えたりしてるのか? 例えば希や叶さんなんかに……」 「うむ。郁美より以前に幾人にも与えてきた。ただ、彼女たちには誘いをかけてはおらぬ」 「なんでだ?」 「我との相性──同調率──が皆無だからだ。我が与えた魔力を以て魔法を行使するには最低でも数字で言い表わすなら二十パーセント以上の同調率がなくてはならぬ。それが彼女たちは零なのだ」 「ふーん。じゃあさ、あんたから魔法の力をもらった私以外の奴らはどんな姿に変身するんだ?」 「そなた以外は変身はせぬぞ」 「なんですと!?」 「変身するのは今のところそなただけだ。そなただけが成功例だ。それまでの者たちの殆んどは、我が魔力が核となり魔法使用の触媒となる道具類を生成した。他には身に付けているものや衣服などが魔法使用の触媒へと変化することがあった程度だ」 「……その成功例って、どういう意味なんだ? 差し支えなければ教えてほしいのだが」  魚は暫し黙考し、 「──よかろう。ちと長くなるが構わぬか?」 「ああ」
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