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「では、話すとしよう。そもそも我はとある人物から分離された魔力に意思が宿った存在だ。そのとある人物とは我の主であり、生みの親といっても過言ではない。何しろ我は元から主の一部なのだからな。
我の主は魔法をより人々の日々の生活基盤の向上に役立てるための研究をしていた御人でな。その功績はついに大魔導という魔法を主に扱う者たちにとって最も権威ある称号を賜るまでに到った。しかし、時代はきな臭い雰囲気が漂いだしており、戦乱が危惧されていた。そんなおり、一般の者たちにとって大魔導の称号は脅威と映ったのだ。まあ、それも仕方がなかろう。大多数の大魔導の称号をえた者は大規模な星間戦争などの英雄。更にかつてはそうでなかったらしいが、当時により近い時代に起きた戦乱の発端者の多くは大魔導の称号をえた者だったそうだ。それ故に我が主は世論に於いて危険人物と認定されてしまい、ある処置がとられた。それが『魔力の分離』と『事実上の幽閉』であった。以後、我が主は傍から見れば窮屈な生涯を過ごした。ただ、主自身は幽閉生活の中でありながらも朗らかにあり、今際の際に“いままで、ありがとう”そう言い残し安らかに逝かれたのだ。そして、我も主が逝去したことで消滅する運命にあったのだが────我は消えることなく独り残ってしまった。それから我は考え続けた。何故、我は主亡き後も在り続けているのかを。そうして、漸く辿り着いた結論が“未練”であった。我は在りし日の主をもっと見続けていたかった。だから、我は更に考えた。考えて考えて出した答えが、我と相性の良い他者を見つけて我と同調させ魔法でもって、その姿を在りし日の主へと変化させることであった。しかし、そうは問屋が卸してはくれなんだ。主らの祖先の故郷とされる、この星に辿り着いて早千年、行く先々で我と相性の良い者達に我の魔力を分け与えたが結果は前述の通り。終に我が諦めかけたその時、そなた郁美を見付けたというわけだ。我は心が躍った。遠目であるのにかかわらず、そなたを見たときに天啓とも言えるえもいわれぬ感覚を得た。我はその感覚に従い行動に出、ついに郁美と巡り合ったのだ」
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