一章 初顔合わせのプラエタリタ

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 ──長い、長い身の上話であったが、理解した。まあ、かなり突っ込みを入れるべきであろう事柄があったが…… 「詰まる所、あんたは自身の野望の為だけに魔法の力を与え廻ってたってわけか」 「然り」 「……で、その到達点が私であったと」 「然り」 「外見こそあんたの望み通りになったみたいだが、中身たる私とそのあんたの言う主とでは性格や嗜好なんかは全く違うわけだが……」 「それはこの考えに辿り着いた時に妥協をしている」 「さいですか」  いやはや、まさかまさかの私欲の為にそこまでやるか、だ。  まさに執念。本当か嘘かは判らないが千年以上も粘るなんて、感服するね。 「そんで、あんたはこれからどうするんだ? あんたの目的は叶ったんだろ」 「否。我の願いは在りし日の主を見続けること。故に我は郁美そなたと行動をともにする」  そういえばそんことも言ってたね。っつうことはだ、四六時中視界には他者には見えない魚が入るわけか……勘弁ねがいたいね……。  どうするべきか…………?  ……  …………  ………………
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