一章 初顔合わせのプラエタリタ

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 ……………………そうだ!! 「……なぁ、話は変わるが、あんた姿形を自在に変える事って出来るのか?」  返答しだいでは処遇を考えねばならないが、私の考えた通りであれば精神的ストレスを大幅に減らす事が出来るであろう。 「可である。しかし、ベースとしているこの原形を失う様な形にはなれぬ。面倒臭いのでな」  面倒臭いって……まあ、いい。 「なら────」 「郁美よ、これでどうであろうか?」  私の眼前でゆるりと宙を泳ぐのは生々しい魚ではなく、魚ベースのゆるキャラ。  デフォルメされたぬいぐるみのような魚にいわゆる天使の羽が背から生え、頭部の額から提灯アンコウの提灯のように突起が伸び、その先端には輪っかがついていおり、さらにその突起は重力を無視して上向きに。パッと見は魚の天使である。 「うん、バッチリの出来だ」  少し前のマジもんの魚よりは百倍ほどマシな姿になった。  これなら、付きまとわれても精神的ストレスの蓄積速度はかなり緩やかになるだろう。 「そういや、あんた名前あるのか? 希は知らないって言ってたけど……」 「うむ……………………これといってない」  ん? なんだ今の溜めるような間は?
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