一章 初顔合わせのプラエタリタ

23/32
前へ
/153ページ
次へ
「そうなのか?」 「左様。故に郁美も希同様に好きな呼び名を付けるがよい。余程のものでない限り、我はその名を受け入れよう」  まあ、いいか。  うーん、名前か……  改めて、新しい姿になった魚を一瞥。  ふむ。別段、凝った名前や中二病全開の名前にする必要はないだろう。  しんぷるいずべすと、だ。 「──よし、決めたぞ。私はあんたのこと天魚(てんぎょ)って呼ぶよ。見た目が天使のような格好をした魚だからな」 「ふむ、よかろう」  あっさりと私の付けた呼び名を了承する天魚。  私の勘違いかもしれないが、幾分か喜びの感情が乗っているような……  ま、いっか。  明日も夏休みの課題を一日ぶっ通しでやらなきゃならないし。今日はリアルタイムで視たい深夜番組もなし。魔法の事も、まずは夏休みの課題を片付けてから考えた方が楽だ。  なので、一先ず目先の目的──課題を片付ける──の達成をできるだけ早めるために健康管理は大事。即ち── 「じゃあ、おやす──」  すでに番組が終わり、報道番組に移行したテレビを消して、明かりを消そうと壁ぎわにある照明のスイッチに手を伸ばす。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加