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シピリュオを旅立ってから数時間、歩き疲れたので食事にしようと提案され、オレはふたつ返事でオーケーした。地べたにどっかりと腰を下ろし、荷物の中から水と食料を引っ張りだす。
「カンナ。汗だくだね」お師匠さまは飲料水の容器に口をつけ、中身を少し口に含んだ。汗だくのオレに対し、実にさわやかな顔をしている。燦々と照りつける日差しはつよく、立っているだけでも汗が滲む。重量のある荷車を引くという労働は、オレの体力を根こそぎ奪い去っていた。お師匠さまから水を受け取ると、天を仰ぐようにしてあおった。からからに干上がった身体に生ぬるい水が心地よく浸透し、しわがれた声にもうるおいが戻っていく。
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