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昼休み、偉知と湯治は机を向かい合わせて昼食をとっていた。
いつも通りの光景だが、心境に関しては今日は普段とまるで違う。
偉知が弁当の米を口に運ぶその正面で、湯治が口笛を吹きそうなほど機嫌をよくしている。
「いやー、助かったぜ偉知ィ!」
椅子の背もたれに身体を預けてゆらゆら揺らしながら、湯治はニヤニヤしながら焼そばパンをかじった。
「80点は俺の教えかもしれねーけど、16点はお前の実力だ。
俺のおかげって言ってもせいぜい8割くらいだぜ」
「ほとんどじゃねーか!」
「まあでも……湯治が二日間みっちり努力しようと思ったから点数とれたんだ。
自信持てよ。全部お前が自分で取った点数だぜ」
「よせよ、俺が天才だなんて」湯治は存在しない前髪を手で跳ねあげる仕草をした。
「言ってねーよ」
「それはそうと」
湯治は斜めに傾けていた椅子を元に戻す。
「いよいよだな」
湯治の顔は真面目に戻っていた。
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