1. 惑星テータ

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―― 夜、23時半。 昼間の活発な偉知はそこにいなかった。 偉知は肩を落とし、目を見開いたまま抜け殻のようになっている。 偉知は千直の家のリビングにいた。 千直は偉知の肩にそっと手を触れている。 厚さが2ミリほどの板状のテレビモニタには生中継のニュース映像が流れている。 その場所はアメリカ・ヒューストンの打ち上げ基地。 瞬間移動……時空転送はここで行われていた。 「何が起こったのでしょうか! 全くわかりません!」 現地レポーターが慌てた口調でマイクに吹き込む。 カメラが映す現地映像は、混乱そのものだった。 頭を抱えて茫然とする女性が画面端に映されている。 そして画面の奥に黒煙が揺らいでいた。
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