24人が本棚に入れています
本棚に追加
――
ほぼ一年後。
学校の教室に偉知はいた。
下校のチャイムが鳴っているなか、偉知は机の下に本を隠しながら黙々と読みふけっている。
「偉知ー!」
千直が声を掛けながら教室に入る。
偉知は気が付いていない。
「偉知? 何読んでるの?」
千直が目の前で覗き込もうとすると、偉知はのけぞった。
「うおおおおお! おいおいおいおいおいおい!」
チラリと見えたのは、成人向け漫画の背表紙。
妙に綺麗な白い太もも(の絵)が千直の目に入る。
「……」
千直を唇を曲げ、蔑むような顔で偉知を見た。
偉知の額には汗が浮かんでいた。
「な、なんだよ!」
「うわあ……。
……まったく、バレない所で読んでなさいよ」
千直は腰に手を当て、溜息をついた。
おとがめなし。
偉知は安堵し時計を見た。
夕方5時。
最初のコメントを投稿しよう!