1. 惑星テータ

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「で、……ああ、もうこんな時間か。帰る?」 「そうそう、そのことなんだけど。 ごめん、今日カレと帰るから」 千直が両手を合わせて言った。 千直はワリとモテる。 十分容姿も良く、性格も悪くない。 ちょくちょく彼氏ができるのだが……。 「おっ、また彼氏できたのか。何人目だ?」 偉知は目と口調でおちょくった。 「な、なにその目。尻軽みたいに言わないでよ! これでも振ったことはないんですけど!」 「これまで全部振られてるってのもマズいんじゃないですか……?」 「ハハ……ソウデスネェ」 千直は硬直しながら遠い目で言った。 先述の通り、千直はワリとモテる。 だが不思議とすぐに別れる。 彼女の悩みの種だ。 咳払いをし、気を取り直して偉知に向き直った。 「てなわけで、夕飯遅くなるかも。 ごはん出来たら私かお母さんか呼びに行くから」 「あいよ」 千直が踵を返し、教室から去ろうとするところで偉知は口を開いた。 「いつも悪いな」 千直は軽く振り返り、少し笑顔を見せて教室を出て行った。 偉知は伸びをし、ニヤニヤしながら本の表紙を眺める。 エロいお姉さん(の絵)と目が合う。 「俺も早く帰ろう。たのしみたのしみ」
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