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「で、……ああ、もうこんな時間か。帰る?」
「そうそう、そのことなんだけど。
ごめん、今日カレと帰るから」
千直が両手を合わせて言った。
千直はワリとモテる。
十分容姿も良く、性格も悪くない。
ちょくちょく彼氏ができるのだが……。
「おっ、また彼氏できたのか。何人目だ?」
偉知は目と口調でおちょくった。
「な、なにその目。尻軽みたいに言わないでよ!
これでも振ったことはないんですけど!」
「これまで全部振られてるってのもマズいんじゃないですか……?」
「ハハ……ソウデスネェ」
千直は硬直しながら遠い目で言った。
先述の通り、千直はワリとモテる。
だが不思議とすぐに別れる。
彼女の悩みの種だ。
咳払いをし、気を取り直して偉知に向き直った。
「てなわけで、夕飯遅くなるかも。
ごはん出来たら私かお母さんか呼びに行くから」
「あいよ」
千直が踵を返し、教室から去ろうとするところで偉知は口を開いた。
「いつも悪いな」
千直は軽く振り返り、少し笑顔を見せて教室を出て行った。
偉知は伸びをし、ニヤニヤしながら本の表紙を眺める。
エロいお姉さん(の絵)と目が合う。
「俺も早く帰ろう。たのしみたのしみ」
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