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――
車いすを手動で走らせ、家まで疾走する。
「ただいまァ!」
無人の家に挨拶をすると、杖を取って腕にはめ、鞄を歯で支えてものすごい速さで二階まで上がった。
自室に入ると濃紺デニムのツナギに袖を通し、机に載ったゴーグルを首から掛ける。
「正装」だ。
キャスターの付いた椅子に腰かけた。
ワクワクの表情で鞄から教室で読んでいた「エロ本」を出す。
偉知の口元は歪み、興奮して鼻息が荒くなっていた。
表紙に用はない。
エロいお姉さんの絵のカバーを剥ぐ。
その下から現れたのは英語で書かれた新版の学術書だった。
漫画だらけだった本棚にはかわりに学術書がこれでもかと敷き詰まっている。
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