1. 惑星テータ

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一瞬で支度を済ませ、制服の学ラン姿に着替える。 玄関には車いすが置かれている。 杖を車いすの後ろに装着し、鞄を乗せる。 体操選手のように腕で飛ぶように乗り込むと、電源を入れた。 「鍵は持った?」 水星が玄関まで歩み寄る。 「持った! 行ってきます!」 「行ってらっしゃい」 水星は手を振った。 奥で衛知も手を振っている。 「あそうだ」一度発進させた車いすを急ブレーキさせ、偉知は振り返った。 「父さんと母さんも行ってらっしゃい」 手を敬礼の形で額の前に差し出した。 「行ってきます」両親は同じしぐさで声を揃えた。 ドアを開け、再び車いすを走らせる。 玄関前には幼馴染の同級生、白木千直(しらき ちなお)が腕を組んで待っている。 濃い灰色のブレザー姿、茶色の学校指定鞄を肩にかけ、赤い腕時計で時間をジッと眺めている。 「イチ、急げいそげ!」 「すまん、文句は目覚まし時計に言ってくれ!」 千直は駆け足で先に走る。 偉知は手元のレバーをいじって、車いすを手動に切り替えた。 手で車輪を強引に回す。 腕力には自信がある。 数メートル離れていた千直の隣まで一気に追いついた。
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