1. 惑星テータ

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「今日だっけ、お父さんとお母さんが出発する日!」 背筋を立てた美しい姿勢で猛ダッシュしながら千直は言った。 背丈やスタイルは普通の高校生だが、運動神経のよい千直の足は実に速い。 「ああそうだ! ヒューストンから飛ぶ! これから高速飛行船で移動してあっちで出発だ!」 「惑星シータだっけ?」 「惑星テータ! 200光年向こう!」 「それってどれくらい向こう?」 「光の速さで200年、約1900兆キロメートル向こうだな。 俺んちと学校の間を約800兆回往復したくらいだ」 「へええ。どれくらいかもうぜんっぜんわかんない」 「俺もわかんない」 信号に捕まり、足踏みをしながら千直は顎に手をあてて空を見上げた。 「ちまちま宇宙船で移動してたらラチがあかないから、瞬間移動で行くんだぜ。 すげーよな!」 偉知は鼻息を荒くして言う。 その表情は夢を見る少年そのものだった。 「出発って何時?」 信号が青に変わり、二人はスタートを切った。 「日本時間で今夜23時!」
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