1. 惑星テータ

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―― 学校の教室では英語の試験が返却されていた。 偉知の隣で、男子生徒が坊主頭を両手で抱えている。 「ああああああ頼むううううううう!」 「言っても湯治、ホントは自信あるんだろ? 大丈夫、大丈夫。余裕、余裕」 偉知が声を掛けた彼は山内湯治(やまうち とうじ)。 「お前に二日かけて教えて貰った所はバッチリだ! たぶん! 後は……どうだかな……」 湯治の顔は藍より青く青ざめている。 「いっつも赤点なんだし、もう慣れただろ?」 偉知が言うと、湯治は口をへの字に曲げた。 「今回は違うんだ。普段やらかしすぎて親がカンカンでよ。 親に『次は80点取る』ってタンカ切ったんだ。 もし駄目なら小遣い一年カットだ」 「やばいな。湯治のテストでそんな数字見たことない」 「やばいどころじゃない。熊と全裸で戦って倒さないと死刑ってくらいやばい」 「例えがよくわかんないけど要は死刑じゃん」 そこで中年の女教師から「山内くーん」という声が掛った。 「あああ処刑の時間だああああ」 湯治はフラフラと立ち上がる。 まるでゾンビだ。 「あの世で会おう」 偉知は適当に言った。
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