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「あの‥‥、その娘さんは…どうなったのですか?」
失礼の無いように。だが、どうしても話して欲しいという面持ちでそう聞くと、涙混じりの声で先程の続きを話してくれた。
《…‥アノヒトは、娘に云いました。『これはソヤ。今日から俺達とここで暮らす。お前がソヤに家事洗濯を仕込むんだ。』と…。》
「それは‥妾というより、いずれ手伝いにするつもりで…」
《もちろんそうだと思ったわよ!!!………でも………ソヤが一人で炊事が出来るようになるとアノヒトは、娘では無く‥‥ソヤが造ったモノをよく食べ、娘の造るモノは不味いと云うようになっていった…》
「そんな…‥」
《やがて…家には鍵が掛けられるようになり、必然的に娘の寝床は蔵になったの。…‥でも、そんなおり、娘には子供が出来た。~…あぁ!これできっとアノヒトは。と抱いた希望はその子が生まれると同時に消えてしまった。………子供は……ソヤに育てさせると云うアノヒトに奪われてしまったの!》
「っ‥‥」
《…出てゆくから、子供だけはと訴えたけど……‥‥アノヒトを怒らせて…‥そして殺されて、この〝嘆き墓地〟に埋められてしまったけれど、あまりの悔しさと悲しみに成仏出来ず、その娘はまだここに…。》
僕は、話を聞いているうちに「きっとこの人が!」と確信したが、それよりも、あまりに不幸な告白になんとも憐まれなくなってしまい、恐ろしい事を聞いてしまった。
「復讐したいのですか?」
すると彼女はビクリと肩を震わせ、左右に細い首をブンブンと大きく振りながら否定した。
《いいえ!復讐なんて‥そんな事…》
「では!」
それなら‥何故!?と思い、この人が話してくれた娘本人だと云うのなら、出来る事ならせめて自分が、この手で、なんとか成仏させてやりたくなり…熱い瞳でジっと見つめていると、
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