~夏の夜~(妄想物語)

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 その後も色々と調べを進めてみると、生みの母親が行方不明になってから五日後に、近隣の縁切り神社の境内で野犬に喰い荒らされて顔も年齢もよく分からなくなっていた身元不明の女の亡骸が発見された為、簡単な供養をして〝嘆き墓地〟に埋めたとの情報も得た。…ちなみに、その亡骸は赤漆染めの髪飾りをタトウシで何重にも包み、決して何があっても壊れないように大切に胸にしまい込んでいた。その芯の部分には《心だけはいつまでも》という文字が小さく、だが、ハッキリと力強く堀込まれていたという…。  「母さんは僕の知らない誰かを…‥。父さんは母さんの心も全部…欲しかったのかな‥‥。」 今となってはまったく何も分からない事を一人でそっと呟きながら、僕はこれからは行ける限りあの〝嘆き墓地〟に行き、母さんに手を合わせてあげようと心に誓っていた。        ~END~
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