第1章~ミクの記憶~

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『お前に良い事教えてやるよ。』 クラスメイトの誰かにそう声を掛けられて、顔をそちらに向けると、 『今度算数で(1+1=)って問題出たら、田んぼの田って書けよ。』 と云われたので、田んぼなら家から近い所に沢山稲が生えているのが見える場所があるから田んぼは知ってるけど、『田んぼの田って書けよ。』の意味がまったく理解出来ていなかったミクは、 「た?…‥田んぼは知ってるけど…た。ってなに?」 と聞いてしまった。それで〝田〟という漢字を教えられ、 「でも先生は2って書くって云ってたよ?」 と云って聞いたのだが、 『今度初テストやるって云ってたじゃん?』 「うん、」 『初テストでは田って書くんだよ。』 と云われたので、「そぅなんだ。」と、何も疑いもせず、完全にそれを信じ込んでしまったミクは「ありがとう。」とソイツに礼を云って、小学校に入学して一番最初のテストを受けた時にその(1+1=)の問題が出た所に堂々と(田)を書いた。そしてそれを田って書けよ。と云い、田の字を教えてきたソイツに見られ、担任が一端クラスを出て行った隙に取り上げられ、周りに見せびらかされて…。ちゃんと教えて貰ったように書いたから(1+1=)だけは当ってる♪と喜んで返されるテストを待っていたミクには酷いショックで、更に見せびらかされている行為が悲しくて、視界が緩んできたと思う頃には、また一人でシクシクと泣いてしまった。しかし、もぅほとんどの子が他のクラスにも友達を作っていた事が災いして流れて欲しくもない噂が一瞬で広まり、次の日からは知らないクラスの誰かにも 《おい田んぼの田!》 と呼ばれ、からかわれてしまうようになり、学校に登校する為の班が一緒の同級生と上級生の女の子達にも何かにつけからかわれてしまう日々が悪化し、日常化してしまった。
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