ダンプとカラス

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「すげーもんだな……昨日も驚いたけど」  真島は熱い熱いと言いながらもあっという間に平らげてしまった。後片付けをしていると、後ろから声を掛けられる。 「なんか欲しいもんあるか? 帰りに買ってくるぞ」  急な申し出に目を瞬かせていると、時間がなくなってしまったのか、真島がメモを書いた。 「これ、ケー番な。そこに固定電話あるから。運転中は出られないけど、留守電に入れておいてくれ」 「あ……でも……」  返事を待たずに、メモを渡してくると真島はあわただしく出て行ってしまった。真島があっという間に食べてしまったうどんをもそもそと食べ、ふうっと息を吐くと途端に落ち着かなくなった。  どうしよう、何か役に立ちたい。真島からはどこも好きにしていいといわれたので一通り部屋の中をぐるっと回ってみた。それほど汚くもないが、トイレと浴室は掃除をすることに決めた。  あとは寝室の積み上げられていた洋服類が気になっていたので洗濯をしようと寝室に入った。中に入るとクローゼットも半開きで中のものがはみ出ている。洋服の整理だけはあまり得意でないのかもしれないと、汚れ物を拾いながら片付けていると、見るつもりはなかったのだが中のポールにワンピースや、ジャケットのような女性の服が数着かかっているのが目に付いた。
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