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それから上下の服や下着などの小物を選ぶと、真島は同じサイズで似たようなデザインのものを数点ずつ、勝手に取っていった。僕が気を使って手を出せないだろうと思ってくれているのだ。粗野な風貌からは想像できないくらい、繊細な人だ。
一組はその場で着替えさせてもらって、大きな紙袋を下げて店を出た。
「おう、見違えたな……」
「たくさん買って下さって、ありがとうございます」
「たいしたことねーよ。安い店だ……せっかくだし、なんか食って行くか。クロはなんか食べたいものあるか?」
「外のお店が久しぶりで、何がいいのか選べないです……」
「んなこと言ってもなあ……さすがに何かあるだろ」
そういわれても、本当に思いつくものがない。
「あの……真島さんさえよければ僕が何か作りますので、食べたいものはありませんか?」
「本当に食ってかなくていいのか?」
「はい」
「クロは、何でも作れるのか?」
「たいていのものは作れますし、作ったことがないものでもネットで作り方をみれば大丈夫です」
「すげーな。じゃああれ……ペペロンチーノが食いたい。なんだよ……なんでもいいって言ったよな」
「炭水化物オンリーですよ……」
「いーんだ、あのニンニクたっぷりが好きなんだよ。じゃ、これで適当に買い物頼むわ。数日分は買えるだろ?」
真島は財布から無造作に万札を数枚抜き取り、渡してくる。
「はい……でも多すぎですよ」
「まあ、それでやりくりしてくれよ。俺は喫煙所で一服してくるから、よろしくな」
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