ダンプとカラス

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 洋服の紙袋を受け取ると、真島はひらひらと手を振った。とりあえずの自分にできることは、真島がうちに帰ってきたら快適に過ごしてもらうことくらいだ。  うちの中を整えて、清潔な服を着てもらい、美味しいものを食べてもらう。  好き嫌いはないと言っていたから、栄養バランスを考えながら、いくつかの献立を思い浮かべながらかごいっぱいの食材や調味料を調達した。  真島がご飯を食べていた姿を思い出した。たった二回、それも余りものをより合わせて作っただけのご飯を、彼はとてもおいしそうに食べてくれた。どんなものを作っても、そうやっておいしそうに食べてくれるのだろうか。  御主人様は、にこやかに食べてくれることはついぞなかったなと、思い出す。たった二日の事なのに、随分前のことみたいだ。 「沢山買い物をしたね、奥さん」  両手に三つのビニール袋を持ち真島の元へ戻ると、一瞬目を丸くしてから笑われ、袋を二つ持ってくれた。 「寄ってくか?」  帰り道、渋滞でノロノロ運転の国道でぼんやりと窓の外を見ていた僕に、真島が問いかけた。 「えっ?」 「牛丼が好きなのか? お前」 「いえ……別に……」 「寄っていこうか」 「でもペペロンチーノ……それに、荷物もあるし」 「もうかなり涼しいから、ちょっとくらい置いておいたって悪くなんねーよ」 「でも……」  答えを最後まで聞かずに真島は牛丼屋の駐車場に入ってしまった。 「今の時間帯一番混んでるんだよ。食べ終わる頃には少しは空くだろう」
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