ダンプとカラス

16/48

263人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
 真島のうちの生活はとても快適で、だんだんと僕は自分の意思で考えたり、動いたりするのに躊躇がなくなってきた。  真島は言葉数は少なく、余計なことも言ったり聞いたりはしないが、だからといって冷たい感じはなく、いつもふんわりとしたやさしいオーラを纏っているような人だ。  体つきはかなりがっちりとして、顔もどちらかというと強面なのだが不思議だ。  マンションから近い数件のスーパーを、求める食材ごとに使い分けたり、日用品が安いドラッグストアも覚えた。  ポイントカードや特売日を駆使する姿を見て、真島は苦笑していたが、自分にできることはそれくらいしかないので大真面目だった。  真島も休みの日には車を出してくれて、普段買いに行けないホームセンターなどに連れて行ってくれた。  毎日がとても楽しかった。  以前も静かな環境だったけれど、針が一本落ちただけでも緊張するような静けさではなくて、穏やかで静かな生活。  御主人様を待つ日課も、本来の目的を忘れ、惰性で行っているような気分になってくる。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

263人が本棚に入れています
本棚に追加