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「……ありがとうございます。喉が渇いていて、すごく、おいしかった」
「それはよかった……なんかうなされてるみてーだったから」
内容は覚えていないが、夢見はとても悪かったからそれでかもしれない。すごく不安で心細かった。
喉を潤してひと心地つくと、受け取ったコップをキッチンにおいてきた真島が傍らに座り込む。
そのまま、布団の上から、僕の胸辺りをトントンとたたいた。すごく落ち着いて安心するリズムだ。
「子供にするみたいでわりーな……昔は歳の離れた弟や妹をこうやって寝かしつけてた」
「すごく……落ち着きます」
「そうか、眠るまでここにいるから、寝ちまいな。寝たら大抵のことは忘れるよ」
真島は何も聞いてはこなくて、ただそっとあやすようにそばにいてくれた。その優しい心地よさにいつのまにか僕はまどろんで眠ってしまった。
「……ん、あれ? 真島さん」
真っ暗な部屋の中で、隣に寝息を感じた。
目が慣れてくると、僕の布団の横で真島が眠っている。ハッとするが、その時真島のシャツを握り締めていたことに気付いた。
だから真島はここを離れることができなかったんだ。
申し訳なさに体が縮まる。寝冷えしていないだろうか、明日が真島の仕事が休みでよかった。
少し冷えている真島の肩に布団を掛けて、場所を移動しようとすると、抱き留められた。
「ま、じま、さん……?」
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