ダンプとカラス

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 真島は目を覚ましていないが、力強い腕でがっちりホールドされて身動きがとれない。  うーんと、気持ち良さそうな声を出して頬ずりをされて驚く。赤面症だから、部屋がもし明るかったら僕の頬はきっと真っ赤だ。  親しい誰かと間違えているのだろう、あのクローゼットの服の人だろうか。  間違えられているとわかっていても、たくましい胸にドキドキする。  御主人様とは似ても似つかない体格なのに、なんでときめいてしまったのだろう。  真島の与えてくれるものはいつも温かい。  泣きたくなるような安堵感に、この時が止まればいいのにと、ばかばかしいことを考えてしまう。  それからの僕はまんじりともせず朝を迎えた。 「んー、おっ、あれっ? クロ」 「……おはようございます」  ぎゅうっと抱き込まれた腕の中で、あわてて小さな声で挨拶をした。真島はとても驚いていたが、自分のした事を理解したみたいでバツの悪そうな表情になった。 「わりいな……抱き枕にしちまってたか」 「いえ……」 「こんなに雁字搦めにしたら、動けなかったよな」  ぴったりと寄り添うようにしていた顔を少し離してまじまじと顔を覗き込まれる。急に落ち着かない気分になって挙動不審になっていると、額に手をあてられた。 「もう熱はないな。よかった」 「はい……ありがとうございました。あの、僕朝食作ってきます」 「や、いーよ。まだ本調子じゃないだろう?」 「もう大丈夫です。ちょっと待っててくださいね」
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