ダンプとカラス

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   だから御主人様に会えるまで、真島のうちに置かせてくださいと懇願した。うちのことは家事全般なんでもする。決して真島の邪魔はしない。寝る場所は玄関で充分だと。  もちろん真島は戸惑っていた。だが僕の必死な様子に長い時間考え込んだ後、結局首を縦に振ってくれた。 「着いたぞ。せめーし、汚ねーけど、どうぞ」 「……ありがとうございます」 「俺、汗くせーから、先風呂入っちまうわ。適当にしてろ。冷蔵庫のモンも勝手に飲み食いしていいからな」  真島が浴室へ消えた後、少し周りを見回した。古いタイプのマンションで間取りは1LDK。ふすまが開けっ放しになっているのでリビングの隣に寝室があるのが見えた。ダブルサイズのベッドが部屋のほとんどを占めていて、ベッドの上には無造作に服が何枚も重ねておかれていた。カーテンレールには洗濯物が干してある。  一番はじめにひとり暮らしであることを確認してから、うちに置いて欲しいとお願いしたので、ベッドのサイズに少し驚いたが、ハードな仕事だろうし、体も大きいから妥当なのかもしれない。  リビングはテレビにローテーブル、ソファ。ここで飲み食いをしているような形跡が見えた。  キッチンのそばには二人掛けのダイニングテーブルもあるが、ここは完全に荷物置きになっていた。  冷蔵庫を開ける。しなびた野菜が数種と卵などがあった。炊飯ジャーにはご飯が入っていたので手早く作れるチャーハンを作った。出来上がった頃、真島が浴室から出てくる。 「すげーなこの短時間で作ったのか……なに、チャーハン?」 「はい。お口に合うかどうかわかりませんが」  すると真島は急に笑い出した。 「お口に合わないモンがあるような上品な顔に見えねーだろ俺。面白いこと言うなアンタ」  僕がきょとんとしていると思い出したように真島が続けた。 「そういやアンタ、名前なんての?」 「……」
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