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バビロン日本本社へと来た時に、東雲という男が俺を訪ねてきた。
「経理部の東雲と申します」
彼との接点はないが、名前と顔ぐらいは知っていた。
「私の部下の、佐藤舞について、二三お伺いしたいことがあります。
少々、お時間いただけないでしょうか」
眼鏡の奥から、冷たいガラスのような目が俺を見つめている。
営業部の同じ階にあるリフレッシュルームに案内する。
秋空が広がる中、
俺は男が、この部屋にやってくるまで一言も喋らなかった
ことに、言葉にできない不安を抱いた。
どんなことを告げられるのか。
全く、予想ができなかった。
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