キスフレ2ndkissVol.34 小栗編2

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壊れそうなガラス細工のように、 触れてはいけないものへと、いつの間にか変わっていて、 何も出来ない自分を責め、 舞をどう愛していいのかを悩んだ。 イギリス出張の帰りのラウンジで、 ふと部長が、口にした。 「バビロンの情勢がおかしくなってる。 この先、このプロジェクトが続行できるかどうかは、 分からないかもしれない」 「情勢とは、何の動きがあるんです?」 俺たちの周りにだれもいないことを確かめて、声を潜め尋ねた。 部長は俺の様子を計るように眺めたあと、 「いずれ、選択しなければならない日が来る。 その時までに、 突きつけられたカードの中で、 何を信じるかを、自分の頭でよく考えて答えを出さなければならない。 地に足をつけて、よく周りを見るように。いいね」 その時は、言葉の意味が分からなかった。
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