病院

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彼が所属していた小隊は日本軍の奇襲を受け皆散り散りバラバラに逃げ出し、最初に投げつけられた手榴弾で足を負傷した彼は置いてきぼりにされ、倒木の陰に身を潜めていたが日本兵に見つけられてしまった。 「おい見ろアメ公がこんな所に隠れているぞ、ぶち殺してしまえ」 「ヒー、タスケテ、タスケテクダサイ」 「このアメ公日本語を喋っているぞ」 彼の郷里には少数の日系人がおり、日本の文化に興味があった彼は二世の同級生に日本語を習った。 「小隊長殿、このアメ公日本語を喋ります」 「お前何処で習った?」 「トモダチニオシエテモライマシタ」 「ふーん、まあいいか、負傷しているみたいだから野戦病院に連れて行ってやれ」 「殺さんのですか?」 「生かしとけば情報とか聞けるだろ」 彼は彼を最初に見つけた兵士とそれより若い兵士の2人に支えられ、野戦病院に連れていかれる。 野戦病院と言っても治療を行っているのは医者ではなく、数名の衛生兵と手伝いの女性達が傷の手当てをしているだけの場所であった。 医薬品が欠乏しているのか傷を水で洗い包帯を巻くだけの処置で、巻かれている包帯もありあわせの布で作った物である。 彼は少女としか言いようが無い小柄な若い女性に足に刺さっている手榴弾の破片を抜いて貰ったあと、ありあわせの布でできた包帯を巻いて貰い多数の傷病兵が寝かされている洞窟の一番奥に寝かされた。
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