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それは、春の風が吹く少し肌寒い夜のことだった。
月が夜道を照らし、静まりかえる京のまちで、カラン、コロン、と下駄を鳴らす者がいた。
「そこの君、待ちな」
その背後に、二人の人影が現れた。
「こんな夜更けに何をしてるの?」
「.............................」
その者は答えなかった。
そして足は止めても、振り替えることはしなかった。
「おい、総司、どうする?」
「斬っちゃっていいんじゃない?」
「いや、それはダメだろ」
「佐之さんは甘いね。だって何も答えないってことは、言えないようなことしてたってことでしょ?だったら何の問題もないと思うけど」
「お前がいいそうなことだな」
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