第1章

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それは、春の風が吹く少し肌寒い夜のことだった。 月が夜道を照らし、静まりかえる京のまちで、カラン、コロン、と下駄を鳴らす者がいた。 「そこの君、待ちな」 その背後に、二人の人影が現れた。 「こんな夜更けに何をしてるの?」 「.............................」 その者は答えなかった。 そして足は止めても、振り替えることはしなかった。 「おい、総司、どうする?」 「斬っちゃっていいんじゃない?」 「いや、それはダメだろ」 「佐之さんは甘いね。だって何も答えないってことは、言えないようなことしてたってことでしょ?だったら何の問題もないと思うけど」 「お前がいいそうなことだな」
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