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互いの距離が縮まりはじめると、その者の顔がだんだんと見えるようになってきた。
だがそれは素顔ではなく、面を被った顔。
未だ女か、男かもわからない。
そして、彼らの横を通り過ぎた謎の者。
彼らが振り返ったときには、もうその姿はなかった。
「珍しいな、総司が見逃してやるなんて」
「ただの気紛れ、次は斬るよ」
「土方さんにはなんて報告するんだ?」
「.....佐之さん、よろしくね」
「うぉい!そりゃねぇよ」
今の人...微かだけど花の香りがした。
女かな....?
京の夜は何事もなかったかのように静けさを保ち、やがてむかえる夜明けが来るのを待った。
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