第1章

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互いの距離が縮まりはじめると、その者の顔がだんだんと見えるようになってきた。 だがそれは素顔ではなく、面を被った顔。 未だ女か、男かもわからない。 そして、彼らの横を通り過ぎた謎の者。 彼らが振り返ったときには、もうその姿はなかった。 「珍しいな、総司が見逃してやるなんて」 「ただの気紛れ、次は斬るよ」 「土方さんにはなんて報告するんだ?」 「.....佐之さん、よろしくね」 「うぉい!そりゃねぇよ」 今の人...微かだけど花の香りがした。 女かな....? 京の夜は何事もなかったかのように静けさを保ち、やがてむかえる夜明けが来るのを待った。
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