第1章

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その子は少し水を飲んだらしく、具合悪そうに木にもたれながら、水を吸ってしまった着物や髪をしぼった。 滴る雫が日光によりひかり、その姿は誰もが見とれてしまうほど美しかった。 僕も少しの間、目をそらすことができなかった。 しかし我にかえると、ソッと彼女に近づき後ろから自分の羽織をかけて、何もいうことなくその場を去った。 「ぁ...」 少女はお礼を言いそびれ、肩にかかった羽織をただ握りしめた。 「ありゃ、新撰組の沖田だな」 「新撰組?」 「あんた知らないのかい。このまちじゃ有名な人斬り集団だ。今の男は、幹部の沖田総司っていう最低な男さ」 「沖田....総司..」 繰返し名を呟く少女は、彼が歩いていった道を見つめた。
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