第2章―4

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 チッと舌打ちをする。予想に反して部活に入っていたか――それとも帰宅してしまったか。  考えてみれば上原怜央のことなんて全然知らない。興味もつながりもないのだから、知ってる方がどうかしてる。 「上原って部活とか入ってる? どうかな?」  すると別の男子生徒が口を挟んだ。 「アイツなら帰ったみたいよ。そういえば、いつもホームルームが終わるとすぐに奴、消えるわ」 「ホントに……?」  人生うまく行かない。今こそそう思うことはなかった。  パッとしないもの同士、行動パターンは同じだった。文子に会わないようにすれば即ち上原にも会えない。結局、授業しか学校に用事がないということだ。部活もしなければ、友達と遊ぶわけでもない。だから、授業が終われば、すぐに消えてしまう。
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