第2章―5

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 上原怜央の場合はどうか。誰かと連れ合うのではなく、一人で学校から出るという話。学校内での態度を見る限りは、至極真面目。ならば何の疑いもなく指定された駅への最短路を通りそうなものだが、それはあくまで表面上の話だ。  上原の本当の実態なんて知る由もない。もしかしたら、とんでもないゲームオタクでゲーセンに入り浸っている可能性も排除できないし、帰宅したくない何らかの理由があり、ファミレスで一人、学校の休み時間の読書の続きに興じているかもしれない。  可能性を上げていたらキリが無い。そんな選択肢、選べるはずがないのだ。  先入観や固定観念は危険だけれども、今は上原怜央の真面目なイメージにかじり付きたい。きっと駅に直行していると思いたい。
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