第2章―5

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 駅までは歩くと10分ちょいの距離。自転車ならば5分足らずで行くことができる。うまくいけば、駅か、その直前で捕まえることができる計算だ。今はそれを信じて、みゆきはペダルに足をかける。  藁をも掴む思いでこぎ続け、4分程度で駅に到着する。ゲーセンやファミレスは、今は排除する。ささやかな駅前のロータリー。その隅っこに自転車を無造作に停めた。  改札は2階だ。生徒たちの姿を意識しながら、階段を駆け上がる。  階段には、予想以上の数の制服が溢れていた。背格好だけで上原怜央を判断する自身はない。追い抜きざまに各々の顔を覗き込んでいく。  階段を上まで上がりきったが、上原怜央は見つけられなかった。  もう改札を抜けてしまったのだろうか。
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