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その後おこなわれた裁判で、久保塚は懲役二年の判決を受けた。
判決を聞いたときも、尚人には遠い国の戦争みたいに現実感の薄いものだった。
ただ、久保塚がこれから償いの日々を送らなければならないと覚悟を決めたように、尚人もまた、妻が死んでしまったことに向き合わなければならないと覚悟を決めた瞬間でもあった。
結婚を機に購入したマンションの部屋には、小夜子の痕跡が至るところに残っている。
クローゼットにはお気に入りだったワンピース、リビングのお揃いのクッション、冷蔵庫の中には結婚半年目の記念に開けた飲みかけのワイン……
部屋のどこにいても、小夜子が語りかけてくる。
「ねえ尚くん、このワンピース似合うかな?」
「尚くんとお揃いだ、嬉しい」
「半年後の結婚記念日には、尚くんと旅行に行きたいな」
頭の中で小夜子の声が聞こえるたびに胸が締め付けられて、尚人は嗚咽した。
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