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〇 自宅 (深夜)
カチカチ
「あっ! やばいこのままじゃ!!」
ゲームの画面を見ながら、つい独りごとを口にする。
“待てぇ!!”
「おぉ! 看護婦が!!」
白衣天使とは形容しがたい血だらけの看護婦が“ゲーム内”の俺を病内で追い詰めていく。少なくとも、検診から逃げている訳じゃない。違う意味で退院させられそうだから、逃げているのだ。
ガタン!!
「ひぃ!!!」
“俺の部屋”の電気スタンドが倒れる。勿論、風もないのに倒れた…そ、そうだよな…それくらいは起きても…別におかしくは…
“あぁぁぁぁぁ!!!!”
「もうすぐゴール地点!!」
ガタガタガタ! 窓が異常に揺れる。動じるな!今ここでミスる訳には…!
カチ!
「よし!! 着いた!!」
??????♪
クリアと共にエンドロールが流れ始める。
「ふぅ……」
ドサ…そのまま床に倒れる。
「あぁ?、怖かった。しかも今までのやつよりも…“強烈”だったな…」
勿論、内容の話ではない。もっと重要なことについてだ。
「……結構かかったが…もうクリアか…」
スッ…体を起こす。
「連絡しておかないとな」
〇 ゲームショップ 陰(翌日)
“ゲーム1000円セール”
「………」
ガサガサ
こんな風に積み上げられたゲームを漁るのは小学校以来の感覚だ。
「大智君」
聞きなれた声に俺は手を止めた。
「やぁ」
「あっ、どうも」
そこにいたのは、ゲームショップ陰の店長だった。確か名前は、杉本努(すぎもと つとむ)さんだ。
「久しぶりだね。少し前に来てからパッタリだったから」
「あははは、すいません」
「僕はてっきり“連れていかれちゃった”かと思ったよ。はははは」
努さんは冗談のように笑うが、それはあながち間違っていない気がした。
「そうですね、少し危なかったです」
「はははは、もう変な冗談はよしてよ」
「…はははは」
とりあえず、愛想笑いだけで合わせることにした。
「それでどうだった?」
「え?」
「えじゃないよ! ゲームの感想だよ!」
「ゲームって…」
俺はここで買ったゲームを思い出す。
「えっと…名前は…呪…病院…何とか…」
「呪鬼降臨廃病院!!」
あぁそれだ。と思いつつも毎回ホラーゲームのタイトルは謎過ぎると疑問を感じる。
「やっぱり何か起きたかい!?」
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