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あたしは深く考えすぎていたのかもしれない。
初対面なのに、どこか安心感を与えてくれるこの人に近づくのが怖いと思った。
けれど店員とお客なら、
「はい、今度は食事しにいきます」
あたしがそう言うと、彼はほっとした表情を浮かべた。
アパートの前に着いたとき、
「これ」
そう言って彼が手渡してきたものは名刺。
「本郷、凪さん?」
「ん。もし何か話したくなって、今日みたいに営業時間外に入れてほしいと思ったらそこに電話して。いつでも掛けてくれていいから」
そう言いながら指差したのは、裏に走り書きされた携帯番号。
その言葉にコクンと頷いて車から降りた。
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