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「テストで出そうなのはこんなところか。」
そう呟くと、俺……暁 湊(あかつき みなと)は教科書を閉じた。
「そんなこと言って、いつも適当にやってるだけじゃん。」
湊のすぐ側にいる少女の名前はルカ。
見た目は中学生くらいでありながら、スラリとした手足や整った顔立ちがとても可愛らしい少女である。
また、翡翠色の瞳は思わず見とれるほどで瞳と同じ色の長い髪を左右にフワリと束ねたツインテールもとても魅力的である。
とにもかくにも文句のない美少女だ……人間であれば。
「これでもちゃんと平均くらいは取れてるからいいんだよ。赤点は取ったことないし。」
「ふーん。でも、高校初めてのテストでそんな余裕たっぷりで本当に大丈夫?」
「大丈夫だよ、多分。」
湊は今年の四月に高校生になったばかりである。
そして、今はゴールデンウィークを過ぎたばかりの五月中旬。
そう、明日は高校で初めて受けるテストの日である。
「ねぇ、ヴィズはどう思う?」
ルカが呼び掛けた相手はベッドに腰掛けて本を読んでいた。
「ヴィズー?」
ルカが再び呼び掛けるとゆっくりと顔を上げた。
「……知らない。」
ヴィズはぼそりと呟くと再び視線を本に戻した。
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