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「むぅー。相変わらずなんだから。」
ルカがぷくっと頬を膨らませて言った。
……とても可愛い。
「まあまあ、いつものことだろ。」
湊はルカをなだめながらヴィズに視線を移す。
ヴィズはルカよりももっと幼く見た目は小学生くらい。
肩を越える銀髪と透き通るような淡い蒼色の瞳が神秘的な印象を与える。
見た目は幼く、感情の起伏も少ないが紛れもない完璧な美少女だ……人間であれば。
「あ、そうだ。ルカが内緒で答えを教えてあげようか?透明化すれば問題ないでしょ。」
ルカが肩に寄りかかりながら提案してきた。
非常に魅力的な提案だ。しかし……。
「それは無理。精霊の霊力の感知システムをくぐり抜けるのは無理だよ。」
湊は女の子特有の甘い香りや柔らかさに鼓動を早めるも平然とした口調で言った。
「むぅ、残念。」
ルカは本当に残念そうに呟くと湊から離れた。
「世の中、そんなに甘くないってことだよ。って、もうこんな時間!そろそろ行かないと。」
湊は立ち上がると机の上にある鏡で自分の姿を確認した。
目にかかるくらいの普通よりちょっと長めの黒髪に切れ長の目、そして平均的な身長。
特に問題ないことを確認すると壁にかけてあったブレザーを手に取り、袖に腕を通す。
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